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ヒト・動物・マダニ・病原性ウイルスの関連

アライグマは、輸入されたものが野生化して増え、鎌倉・葉山・横須賀の農地だけでなく、横浜の住宅街にも出没している。可愛いのでついつい気を許して餌付けする人もいるだろう。

能見台通に出没するアライグマ
能見台通に出没するアライグマ

今や都市近郊で当たり前に見られるようになったアライグマとハクビシンに寄生するマダニの寄生状況を比較した研究では、同地域で捕獲されたアライグマ60頭から6種のマダニが18,509体、ハクビシン41頭からは2種のマダニが152体採取された。しかもハクビシンが毛繕いの最中にマダニを食べて減らしてしまうのに対し、アライグマはそうした行動が少なく、マダニの宿主となり増やし運ぶ存在だと考えられている。

(土井寛大ほか 2022年3月 日本生態学会第69回全国大会 福岡「マダニを増やす宿主と減らす宿主」)

区内の至る所で見られるようになったクリハラリス(台湾リス)ではどうか?

三浦半島で2019年から2022にわたって行われた調査では、538個体のリスからマダニ231個体を回収。寄生率は25.1%で、若ダニが多く、リスが越冬宿主になっている可能性が指摘されている。 (Aya Masuda, et al. (2025). Prevalence and patterns of ectoparasites infesting Pallas’s squirrels Callosciurus erythraeus in Kanagawa Prefecture, Japan. Journal of Veterinary Medical Science. 2001年から2003年に鎌倉市で行われた調査では、105個体のリスからキチマダニを1個体検出。さらに8個体でライム病ボレリア抗体を確認した。(Shinozaki, T., et al. [2004] Ectoparasites of the Pallas’s squirrel Callosciurus erythraeus introduced to Japan. Medical and Veterinary Entomology)

マダニは孵化すると、幼ダニ → 若ダニ → 成ダニと成長し、それぞれの段階で違う宿主に乗り換える。幼ダニはネズミや小鳥などに付きますが、若ダニや成ダニは中型〜大型哺乳類に寄生して病気をうつすことがある。ヒトも寄生対象となる。ライム病などの病原体を運ぶことで知られ、近年ますます危険性が注目されている。実際に、日本ではマダニが媒介するウイルスに感染した猫を獣医師が診察した際に、猫の体液から二次感染したという報告もありました。つまり、放し飼いや散歩をするペットと野生動物との行動圏が重なると、ダニから感染したペットを通じて人間に感染するリスクも高まる。

ハクビシンもアライグマも、もともとは農地や果樹園での食害が問題になっていたが、いまでは住宅地に住み着くものも少なくない。田舎でなくても、庭や家庭菜園には枇杷、柿、蜜柑、山桃などの木があり、季節を問わず何かしら食べられるものが見つかる。人が不適当に廃棄した食品が袋から容易に掻き出せる状態だったり、飲食物が残っている食品の容器包装をポイ捨てしたりすれば、昼はカラスや猫やネズミを、夜はアライグマを呼び寄せる。空き家や草ぼうぼうの庭や公園は棲み家として利用される。こうした環境が、野生動物とダニを住宅地に居着かせてしまう。人の生活空間と野生動物の世界とのあいだに「一線を画す」ことが、感染症やその他被害を防ぐために欠かせない。そのためには、私たちの身近な習慣を見直すことが大切だ。

· ペットの餌や水が入った食器を屋外に放置しない。

· 住宅地に近い山林の倒木を片付けたり草刈りしたりし清々しい状態を保つ。

· 公園や庭、駐車場、空き地や空き家に雑草や雑木を繁茂させない。

· 食べ残しや飲み残しを正しく処分する。食品廃棄物はカラスや猫やネズミや野生動物に荒らされないよう適切に出す。弁当殻や飲料ボトルを野外に捨てない。不正に捨てられたゴミも放置しない。

· 池や水槽にはアライグマが好んでやってくる。網を張るなど寄りつかせないようにする。水を飲みにやってくるので鉢受け皿などに水を溜めない。

これらは蚊からの病原性ウイルス感染を防ぐための対策と重なる。清潔で清々しい環境を作ることで、多くのリスクが縮小することになる。

G.S.(文・写真)

 
 
 

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