多年生 根茎系の草の刈り時
- かなざわ森沢山の会 広報GS
- 2021年10月1日
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種子以外に地下茎を横に伸ばして株が増えていく草は当会の活動域でも繁茂している。カラムシ、セイタカアワダチソウ、ヨモギ、チガヤ、イタドリ、クズ、ヤブガラシなどは地下茎あるいは根に新たな芽を吹く能力があり、地上部だけ刈ったり抜いたりしてもすぐに新芽を出してしまう。また根絶しようと耕耘して根茎や根を砕いてしまうと株数を増やしてしまう。クズは地上を這い回るほふく茎にも根や脇芽を出す能力があり、バラバラにしても活着すると新たな株となる。 これらの草は、地上部がある程度の草丈まで成長するのには地下部からの養分を使い、そうして地上部が成長してきたら地下部に養分を送らせる。なので、地上部が地下からの養分に頼らなくてもよくなる頃、すなわち栄養分を地下に送り始める前を見計らって地上部を刈ることが大切。初夏に一回、盛夏に一回、来春の芽吹きに備える秋口に駄目押しのもう一回刈るといいというのは、根茎や貯蔵根の栄養を枯渇させることができるからで、翌年以降の生え方が変わってくる。まだ草丈が低くて柔な内に初回刈って、暑いからといって夏は放置し、残暑が終わった頃にやっと二回目を刈るというのでは、地下茎や貯蔵根には夏の間に蓄えた栄養が充満され、たとえ種子を着けさせなかったにしても地下茎を伸展することに養分を使われてしまうことになる。見た目がほんの一時だけ清々しくなるだけで、翌年は同様の勢いで前年よりも多くの新芽が出てくるということになる。 竹も地下茎を意識して作業している。竹林の拡大を阻止するためには区域を定めて竹を全て刈るが、その際に初夏に筍がわんさと出てきて元の木阿弥とならないようなうまいやり方として、寒の1m伐りというのがある。地下茎が春に筍を準備するかどうかを決定する時期に敢えてそうする。伐られた竹はすぐには枯れず、伐られた竹が生きているのでそれを補完するための筍を地下茎に準備しない。冬季休眠が明けたら、その伐られた1m丈の切株に水と養分を切口から湧き出させるほどに送り込み、筍を出す準備をしていなかったので新竹が栄養分を補給してくれることもなく、地下茎は衰弱し枯れる。伐り残した1m部分もやがて根から枯れ腐る。跡に笹のような竹を生やすこともあるが、刈り取ることはたやすい。この方法は当会でも取り入れ効果を確認している。 おなじように草刈りも時期を見極めることが肝心。年ごとに気象が異なるのでこの日と定められない難しさはあるが、群落を形成し高く繁茂する草は抑えて、今後、草刈りの負荷を下げていくことが大切だ。毎年太くて硬くて背の高い草を刈るのは、手鎌だけでなく実はエンジン刈払機での作業でも負荷が大きい。筋肉を使うから疲れるというだけでなく振動や騒音が酷くなるので健康にはよくない。草丈が高くなる根茎系多年草の勢いが弱まったならば、年三回でも所要時間と労力が年々下がり、負荷も下がる。ついでに燃料代も抑えられる。機材の寿命も伸びると思う。
前夏と今夏は、8月の大塚沢での草刈りを自主活動で完了させている。雨天で予定していた日時にできなくても、通常の活動でやり残しても、それを補うために計画を修正すれば、草の地下部の勢いを抑えられる。梅栗林での作業や枝の片付けも楽になっている。秋の草刈りも楽になる。今年はいいタイミングで草刈りができており、梅の収穫が楽であったし栗も収穫できた。後の作業の地拵えとして草を刈ったり、荒天で潰れた作業を補完したりするため、草刈り隊だけ一時別行動となり活動場所が二箇所になることがかつてはよくあった。刈払機を使う作業では人の密度を抑えたほうが安全面でも好ましいという理由もあった。毎年欠かせない草刈りは草の生態に合わせて臨機応変にやりましょう。
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