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6月からすでに高温の長い夏 〜 蚊の防除を万全にしたい

 今回は蚊についての知見をまとめてみた。血液型によって刺されやすさが異なるということも一時期言われたが、それよりも他の要因のほうが影響が大きいことから、今では蚊の防除に関して血液型を主な要因として取り上げることがなくなった。蚊を呼び寄せてしまう要因を減らすことが重要だ。 また蚊が卵から羽化まで過ごす発生源(よどんだ水)や、成虫になってから風や直射日光を避けて潜むことができる草地、ヤブ、庭の植栽、森などを風通しよく手を入れて整理し、水を溜めてしまう物や場所や容器包装ゴミを回収して適切に処分し、蚊に刺される機械だけでなく蚊そのものを増やさないとこが大切だ。


日本国内で見られる主な蚊


ヒトスジシマカ(やぶ蚊)

アカイエカ

チカイエカ

特徴

体長:3〜4.5mm。重量:約1.5〜2.5 mg。小型で黒く、体色は黒白の縞模様で背中に白い縦線がある。 動物の呼気のCO2に反応し、昼から夕方に吸血する。飛行速度 約1.5〜2.5 km/h 秒速約0.4〜0.7 m。活動範囲は50~100m程度。

体長は約5.5mm。 茶褐色で腹部背面に橙色の横帯が見られる。 日本全土に生息し、夕方から夜間に吸血する。

体長は約5.5mm。 見た目はアカイエカに似ている。

発生場所

雨水桝・古タイヤ・空き缶・ペットボトル・カップ・プラスチック袋・植木鉢の水受け皿・墓地の花立・竹の切り株などの水が溜まる場所。藪・墓地・公園など。

側溝・汚水槽・防火用水などの汚水から発生。

地下鉄の溝内・ビルの排水槽・浄化槽など地下の水域。

発生時期

夏期(5月~10月頃)

6~9月頃

一年中発生

疾患

ウエストナイル熱・デング熱・チクングニア熱・黄熱・日本脳炎

ウエストナイル熱・フィラリア症

ウエストナイル熱


🔍 オスとメスの違い(ヒトスジシマカ)

特徴

オス 

メス 

体の大きさ

約 2.0〜3.5 mm 約 1.5〜2.0 mg

3.5〜5.0 mm 2.0〜2.5 mg吸血時3mg

寿命

短い(約1週間)

長い(2〜4週間)

吸血

❌ 吸わない(蜜を吸う)

✅ 吸血する(産卵のため)

活動時間

日中が多い

朝夕の薄明時が活発

主な役割

交尾のみ

吸血・産卵を繰り返す

口の構造

柔らかく短い

硬くて鋭い針状の口器

🔁 蚊の一生(ヒトスジシマカ) 卵から成虫までは 10~15日程度(気温が高いほど早く羽化する)

段階

期間

特徴

1〜3日

水際に産みつけられる。乾燥に強く半年以上休眠可能

幼虫/ボウフラ

5〜10日

水中で生活。4回脱皮。微生物や有機物を食べる

蛹/オニボウフラ

1〜3日

水中で静止しながら変態(口はなく、何も食べない)

成虫

 オス約1週

メス2〜4週

羽化後24時間以内に飛び始める。オスは数日で交尾開始。メスは吸血・産卵を4〜5回繰り返す。1回の吸血で50〜200個の卵を産む。


🦟 蚊はどのようにヒトに寄ってくるのか?

蚊はヒトを探すために多機能高性能な感覚器を持っており、ヒトが出す刺激を敏感に察知する。まず10m以上離れた遠方からヒトの呼気に含まれるCO2を感知する。大気中のCO2濃度が0.04%であるのに対し、ヒトの呼気には1~10%だ。濃度は、人によっても、活動によっても変わる。CO2を感知したら静止状態から飛行を開始し、次の手がかりを求めて飛び回る。視覚と匂いの刺激を得るとますますヒトに近づく。接近後は熱と水分を検知し、吸血スポットに着地。皮膚上では、味覚で味を感知する。

🔍 蚊の多様なセンシング


💦 蚊が引き寄せられる成分

センサー

対象

しくみ

働き

👃 においセンサー(化学受容体)

CO₂、乳酸、脂肪酸、アンモニアなど

上唇小片や触角の感覚子にある受容体が、空気中の化学物質をキャッチ

匂いで人の存在を認識

👁️ 視覚センサー

色・動き・形

背景とのコントラストや動きに反応

ターゲットを視認

🔥 熱センサー

(赤外線感知)

体温・服の表面温度

熱の出ている部分を赤外線として検出

吸血ポイントを探す

💦湿度センサー(湿度受容体)

皮膚表面の汗や蒸発する水分

湿っている=血管が近い、血を吸える場所と知覚

吸血ポイントを探す

👅味覚センサー

血液や蜜(口吻)

歩いた皮膚面の成分(脚)

口吻で血液や蜜の味を判断。刺す前に表皮の成分を感知する。

吸血のために着地した皮膚表面の成分を脚で感知する。

食物や吸血ポイントを探す


🧪 刺されやすい人の特徴

条件

なぜ狙われやすい?

運動直後・大柄の人・妊婦

CO₂を多く排出

代謝が高い人・運動直後・夏場

汗に含まれるにおい成分と表皮常在菌による分解物質

黒い服・肌を露出した人

黒は熱を吸収しやすい。背景との色と熱のコントラストが高く蚊には際立って見える

靴、バックパック、ベルトに汗の成分が染み着いている

繊維に蓄積した臭い物質も蚊を誘引する

🦟 蚊の防除:3つの基本原則

種類

対策の目的

主な方法

① 発生源対策

「蚊を生ませない」

水たまり除去・容器管理

② 成虫対策

「近づけない・殺す」

蚊取り剤・網・防虫スプレー

③ 個人防護

「刺されないようにする」

長袖・蚊帳・忌避剤

① 発生源対策(最も効果的)

蚊の99%は、人間が作った小さな水場から生まれる

  • 空き缶、バケツ、古タイヤなど不要な溜まり水を作らない

  • 植木鉢の受け皿の水をこまめに切る

  • 排水口や雨どいの詰まりを掃除し、水が溜まらないようにする。

  • 防火用水・雨水タンク・住宅前の道路の集水枡に金属メッシュ・防虫網を設置

  • 毎週1回以上、水がたまる場所をチェック!

 🔍 ヒトスジシマカの卵の「乾燥耐性」と「熱耐性」

 1. 乾燥には強い

  • 乾いた場所でも 数ヶ月~半年以上生存可能

  • 雨や湿気が戻ると即座に孵化

  • 水たまりが一度乾いても、次の雨でまた蚊が発生するのはこの性質による。

 2. 高温にはそれほど強くない

  • これは卵の殻(殻膜)は水分の蒸発を防げても、たんぱく質の熱変性までは防げない

🔥 熱を利用した防除法(家庭・現場)

温度

卵への影響

〜35℃

問題なし(通常の夏の気温)

40℃以上

孵化率が低下、ダメージを受け始める

45℃以上

多くの卵が死滅。長時間で完全致死

50〜60℃

数分でほぼ完全に死亡(熱湯で駆除可能)

  • バケツ・プランター・古タイヤなどの蚊の発生源になりやすい容器は…

    → お湯(50℃以上)をかけて駆除。プラスチックは耐熱温度表示がない場合は60度未満。

  → 中をしっかり洗ってから炎天下に置き、直射日光に数時間当てると卵を殺せる。

 *夏場に直射日光にさらされたプラスチックの表面温度は、非常に高温になります。       ■ おおよその温度目安(風が弱く気温26~30℃の太陽南中の時間帯の場合)

プラスチックの色・材質

表面温度(目安)

黒色のプラスチック

60〜80℃以上

濃い色(青・赤など)

50〜70℃程度

明るい色(白・ベージュ)

40〜55℃程度


② 幼虫(ボウフラ)対策

🧪 化学的防除:一般的な殺虫剤以外の対策もある。

方法

特徴

BT剤(バチルス菌)

幼虫専用。環境にやさしい生物農薬

脱皮阻害剤

幼虫専用。他の生物に害が無いように場所と容量に配慮が必要。

③ 成虫対策

一般的な殺虫剤・忌避剤以外の対策

方法

特徴

白や明るい色の服

背景と高いコントラストをなす暗色・濃色の衣類を避ける

バックパックや靴の洗浄

衣類だけでなく、帽子、靴、バックパックの背面やショルダーベルト、ベルトなどを、洗濯可能な素材ならば夏季は洗う。皮脂汚れが細菌に分解された成分に蚊は惹きつけられる。

体を冷やす:汗と体温の上昇を防ぐ

蚊は体温の高い人に寄ってくる。

風を使う

空調服は体温の上昇を抑えながら、服表面と皮膚の間に空気の層を作り、首周りや袖から空気を吹きだしますので、蚊が衣類下の皮膚や顔や首筋に近寄りにくい。

微香性・無香性のシャンプー・制汗剤・洗濯洗剤・柔軟剤を選ぶ

フローラル系・果実系など蚊を誘引する成分を含む香料や芳香剤は、汗や体臭と混ざることで、蚊にとって魅力的なブレンドになることがある。

汗を除去・着替える

皮脂や汗腺が多い耳の後ろやうなじも匂いの発生源。活動前・休憩中に顔・首まわりをボディーワイパーで拭ったり水で軽く洗う。

がむしゃらに作業しない

がむしゃら作業の人は、熱い・匂う・CO₂多い → すぐ標的にされる。

道具の切れ味を生かし効率よく作業する人は、汗・匂い少なめ・気温と体温の温度差が大きくならない→ 比較的感知されにくい。

G.S.

 
 
 

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