top of page

竹はなぜ切られなくなったのか(2) 現状に即して竹の需要を伸ばす

 1990年代に里山保全活動が勢いづき、竹林整備に力を入れているボランティア団体も増えた。自治体や組合などによる針葉樹林や広葉樹林へ侵出する竹の皆伐が盛んな地域も増えているが、地球温暖化の影響で竹の勢いは増し、全国の竹林面積は減らず、毎年漸増している。家庭での山の恵みの需要がほとんどない状況下では竹林整備はすぐ限界に達してしまう。「暮らしと結びつかない保全」は続かない。


 食料や日用品として竹を利用することは大切で、啓発や文化喪失防止の効果はあるが、日本の竹林の価値を上げ、竹林から材が運び出されて理想的な状態に竹林を維持する原動力にはなっていない。切った竹は年々うず高く積まれることになり、だんだんと作業がしづらくなるのだ。竹林経営において消費されない竹を現場で安全に焼却することは従来からなされているが、公園や市民の森という都市近郊では原則として裸火は使えない。竹をチップや粉にするチッパシュレッダーなどエンジン機器を自治体などが貸し出す動きもあるが、急傾斜地では自走できないし、柵で囲われた林の入口が狭い場合には、クレーンで吊るさない限り林内に入れることが難しい。また、粉砕時の轟音を近隣住民がどれだけ耐えてくれるのか?チップや粉末をどう活かすか?ただ堆積し風雨で散逸・流出するのに任せるのか?竹粉末を引き取って畑に入れる農家を都市近郊で探せるのか?農家近くにも放置竹林はあるだろうに、他所の物を使うだろうか?


 森林管理からもたらされるバイオマス(生物由来資源)を最大限に活かすには、チップ、パルプ、炭材、土壌改良材、小規模熱利用、小規模発電など、切ったものが山からどんどん出ていくための用途が必要だ。木質発電所は至る所にある。京急グループは電気バスや葉山マリーナで必要になる電力を鉄道敷地の伐採木を燃料にして(株)タケエイグリーンリサイクル 横須賀バイオマス発電所から調達している。山口県山陽小野田市は、藤崎電機が施行した世界初の竹専用バイオマス発電所(2MW級)を運用している。今後増えることが期待される。国産竹を用いる製紙業が軌道に乗っている地域もあるが、日用品レベルにはならず需要はまださほど伸びていない。しかし、全国に広がりを見せている。一部は輸入材を使って始められ、材を出荷できる山が地域に増えるのを待っている状況だ。竹を原料としたセルロース素材の製品(注)も増えているが、国産材はほとんど使われていない。材生産・流通・加工・販売・消費の線がどこも同じ太さにならないと日本の竹林の保全には寄与しない。

 民間に任せておけばいいのか。例えば古紙製品市場は勝手に育ったわけではない。企業の善意、消費者意識の向上だけではなく、古紙利用率目標の設定、官公での優先使用、資源回収・選別施設への支援、補助金・税制措置、業界団体を通じた標準化など、 官公の施策により、需要安定、価格安定、進む設備投資、技術洗練という好循環が生じた。国産竹の利用にも弾みをつけるための同様の施策があって然るべきだ。


 それが実現し軌道に乗るまでの間も竹林の拡大は続き、生物多様性を減少させるだけでなく、自然災害の被害をも大きくしかねない。竹の地下茎はせいぜい深さ30cmほどでしか発達しない。また稈(竿の部分)や枝葉より早く枯れる。地上部が青々としていても、枯れた地下茎では土を留められない。特に放置竹林では若い地下茎が伸びにくく、地滑りの危険が高まる。竹に侵略された斜面全体が雪崩のように滑る事例が増えている。マダケの次の一斉開花枯死の際に、マダケ林のほとんどが放置竹林であったとすれば大変なことになる。手入れされた竹林は若い地下茎が多く、比較的土砂災害に強い。一斉開花枯死後も再生が速やかだという記録がある。売れるか売れないかということとは別に、竹は切らねばならない。


 産業・生態系保全・災害予防を全て勘案すると、国産竹の需要が高かった時代よりも竹林面積を一旦縮小し、その上で管理が行き届く範囲を健全な状態で維持する必要があり、それが現実的だ。


(注)竹を化学処理をして合成繊維やプラスチックを作るため、環境に良い竹利用だとは一概には言えない。

(G.S.)

 
 
 

最新記事

すべて表示
マダニと蚊の対策

金沢区のほとんどの場所でシカやイノシシなどの大型野生動物が見られないので、マダニ対策を強く促されることはないが、どんぐり広場がかつて草深かった頃、草刈りの際にイノシシが目撃されたことがある。イノシシはマダニを宿しその生息域を拡大させる動物だ。近隣の逗子葉山横須賀三浦ではイノシシが深刻な問題となっており、2019年 風倒木の片付けのため、東逗子から二子山山系の遊歩道に入った折にも、研究用センサーカメ

 
 
 
5⽉の活動報告

9日(⼟)⾃然公園拠点集合 9:30〜15:00 晴れ 16名参加    ヒノキスギの⼭:間伐・下草刈り、午後理事会 16日(⼟)⼤塚沢拠点集合 9:30〜15:30 晴れ22名参加    午前:刈払機や手鎌で梅林の下草刈り。梅収穫    午後:拠点入口から奥及び川沿いの草刈り、薪割りを行った。 23日(⼟)⾃然公園拠点集合 9:30〜14:30 曇り 16名参加    午前:夏山真竹林にて親竹刈

 
 
 
4月の活動報告

12日(日)自然公園拠点集合 9:30~14:30 晴れ 18名  午前:スギヒノキの山にてヒノキ2本間伐、枯木除伐。 林縁のヤマザクラ枯木の除伐 林床整理を実施。 ヒノキ丸太数本を拠点に運搬。  午後:自然公園拠点で、草刈り、溝蓋を外して落ち葉を除去。整理を実施 18日(土)大塚沢拠点集合 9:30~12:20 晴れ 21名参加  孟宗竹林にて間伐・若竹刈り・切った竹の枝払いと解体などの林床

 
 
 

コメント


©2018‐2025 by NPO法人 かなざわ森沢山の会. Proudly created with Wix.com

bottom of page